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『誰が一番愛されてるか決戦!』

――ごそごそ

我来也「……ふふ……」

――ごそごそ、ごそごそ

我来也「ふふふふふふふ……!
これで、これさえあれば、僕があいつを閉じこめて独占して僕だけ見るように――」

蔵人 「――何をやっているんだ、我来也先輩」

我来也「うわああああ!?」

――がたた!……ぽろり。

我来也「ななな、な、き、霧隠!?  それに咲助も何故ここに……っ」

咲助 「蔵人ー、だめだろ我来也さん脅かしちゃ」

蔵人 「……何か我来也先輩の懐から落ちたな」

我来也「僕の話は無視なのか!  ――じゃない、いや、それより霧隠、それを拾うな!」

蔵人 「なんだ、これは……。 ……む、説明書があるな……」

咲助 「なんだよ我来也さん、また変な舶来物買ったのか?」

我来也「!!」

蔵人 「!!」

咲助 「……ん? なんだ、二人とも驚いた顔して」

我来也「さ、咲助が【舶来物】という単語を知っていたなんて……! 信じられないんだぞ!?」

蔵人 「咲助が【舶来物】という単語を知っていたとはな……。
――誰に教わったんだ? 鎌清か? それにしてもよく覚えていたな」

咲助 「いや俺だってたまには知ってる単語くらいあるっつーの!!!
お前ら、それすっげぇしつれい だからな!!!!」

大介 「普段からお馬鹿なことばかり言っているからじゃないかな?」

鎌清 「僕としては教えた単語を覚えてくれていたことに感動ですね」

咲助 「大介、鎌清! くっ、めんどくせーやつらが……っ。
……鎌清はともかく、なんで大介が俺達の教室に来てんだよ」

大介 「幼馴染に対して随分冷たい物言いだね、咲助?
小さいころはあんなに可愛くて夜中の厠に一人で行けなくて泣いて俺が手を引いてあげたっていうのに……」

咲助 「うわああああああやめろおおおおおお!!!!!」

我来也「な――、咲助、お前……僕を馬鹿にできない怖がりだな!?」

咲助 「昔の話だろ!? こここ子供の頃なんて皆そんなもんだろおおおお!」

鎌清 「僕は違いましたが」

咲助 「鎌清は泣く前に兄貴が世話してくれただけじゃねーかっ」

鎌清 「む……! 心外です、そんなことは――」

我来也「ふっ、隠さなくて良いのだぞ、咲助……。
永劫の輪廻と静寂に包まれし闇に抱かれ安寧を貪ることができるのは龍と精霊たちに育まれ栄光の器を受けとった神々の再来のみ、恐怖を服従させることができるのは恐怖に慄いた者だけだ――」

咲助 「いや、全然わかんねーし……。 ていうか途中からもう聴いてらんねーよ我来也さん」

鎌清 「僕は咲助とは違いますからね。
夜中に怖い夢を見て泣いたことはありますが厠に行くのを怖がったことはありませんから!」

咲助 「へー、そうだったのか。 俺、夜中に起きることはなかったからなぁ」

鎌清 「咲助は確かに一度寝たら起きませんでしたね。 お泊り会のときも咲助だけは寝ていて……。
そうでしたね、穴山さん」

大介 「うん、そ、そうだね……っ」

鎌清 「? 穴山さん、なぜ笑いをこらえているのです」

大介 「いや、だって……ねぇ?」

我来也「なるほど、由利は怖い夢を見て泣く子供であったのだな」

鎌清 「――はっ!」

咲助 「あっ」

鎌清 「ぼ、僕としたことが、まさか墓穴を……!?」

大介 「気付くのが遅いんじゃないかな? 真面目すぎるのも考え物だね」

鎌清 「そそそそんな僕はその別に確かに怖い夢は苦手ですがその」

我来也「案ずるな、それは貪婪な夢魔の仕業。夢魔を調伏し己が暗黒力とすれば怖るるものにあらず――
――はっ、だから貴様はむっつりなのか!? 」

鎌清 「とんだ言いがかりです!!!」

大介 「ところで霧隠君はずっと黙って何かを読んでいるけど、 一体何を読んでいるのかな?」

――ぺららららら……ぱたん。

蔵人 「……理解した」

我来也「ああっ、そ、そうだ、忘れていたんだぞ!」

咲助 「なんだよ蔵人、なに持ってるんだ?  それって我来也さんの持ってた箱だろ?」

蔵人 「……どうやらこの箱を使えば
あいつにどれくらい愛されているかが分かるらしい」

咲助 「はあ!?」

鎌清 「なんですって!?」

大介 「へえ?」

我来也「…………」

蔵人 「おおかた、我来也先輩はこれを使って
あいつの心を服従させて独占して監禁してしまおうとしていたんだろうが……」

我来也「ちちち違うんだぞ!?」

大介 「じゃあ何に使おうとしていたんだい?」

我来也「僕はただ、その……
――……あいつに少しでも愛されてるか不安で――……」

蔵人 「……そうか……」

――ふわり。

大介 「霧隠君が笑った……!?」

咲助 「えっ、蔵人が同情的?」

蔵人 「――だが残念だったな。あいつの心は俺のものだ」

咲助 「無表情でばっさり言った!!!!」

鎌清 「優しいと見せかけて何という傲慢さでしょう!?」

我来也「そそそそんなことないんだぞ!
――いや、そのようなことがあるはずがない!   あやつの心は永劫に我のもの。
霧隠よ、貴様があやつに愛されし我を羨むのは至極当然であろうが、
あいにく我とあやつの絆は普遍にして不変のもの――」

鎌清 「聞き捨てなりませんね、二人とも」

咲助 「鎌清、いまの我来也さんの言葉分かったのか!?」

鎌清 「我来也先輩が彼女に愛されていると主張していることは分かりました。 思いこむのは本人の自由です。
が、彼女の心を怪しげな機械などで測ろうとするのはいかがなものでしょう。
想いは数値などで測れるものではないはずです!」

大介 「さすが、真面目な委員長的発言だね?」

鎌清 「……だいたい、彼女の心を占めているのは僕のはずですし……(小声)」

咲助 「えっ? 鎌清、今なんて?」

鎌清 「な、なんでもありません!  べべべ別に僕は彼女に愛されていると分かったら
その場でとんでもないことをしてしまいそうな自分が怖いとか
そんなことを思ったわけでは決してなくですね、むしろただ彼女の愛に応えて甘い時間を過ごしたいだけで……っ」

咲助 「うわぁ……」

大介 「全部だだ洩れだね?」

蔵人 「これだから むっつりは……」

我来也「由利、貴様……見損なったんだぞ」

蔵人 「だがやはり、あいつは俺しか見ていないので鎌清の妄想は実現不可能だ」

鎌清 「な――――!」

咲助 「断言した!?」

我来也「ひ、ひどいんだぞっ」

大介 「なんていうか……霧隠君はずいぶん自信があるんだね」

蔵人 「当たり前です。 誰が見ても、あいつが好きなのは俺だ。 他の誰でもない」

我来也「そんなこと分からないじゃないかぁっ!!」

鎌清 「そうです! 本人にしか分からない問題です!!」

咲助 「そ、そうだぜ、蔵人っ。 別に俺はあいつの好きな奴なんでどーでもいいけど! いいけど!!」

蔵人 「…………ならば確かめてみるか?」

咲助・鎌清・我来也「「「えっ?」」」

蔵人 「我来也先輩が持ってきた この謎の箱を使えばいい。 誰が どれくらい好かれているか判明する」

我来也「な……!」

蔵人 「……ただ測るだけというのもつまらんな。 鎌清ではないが、あいつに一番好かれていた人物は
あいつと二人きりの夜を過ごす権利を得るというのはどうだ。
……まぁつまり俺があいつと一晩共にするということだな」

鎌清 「そそそそんなことをさせるわけにはいきません!!!」

咲助 「待てよ蔵人! そんなの狡いだろ!!」

蔵人 「俺とあいつを二人きりにさせたくなければ、咲助、お前が一位になれば良いだけだ。
……まあ無理だろうな、一位は俺だから」

咲助 「なに――!?  い、いいじゃねーか、その勝負受けてやる!!」

蔵人 「…………」

鎌清 「咲助、なにを単純な挑発に引っかかっているんですか!」

我来也「そうだぞ、咲助! あいつをみすみす霧隠に渡す気か!?」

咲助 「う、うるせぇっ」

大介 「まぁまぁ、鎌清も我来也さんも、あと咲助も落ち着いたほうが良いんじゃないかな?
君達が一位になれば子猫ちゃんと過ごせるってことだよ。
鎌清も少し言っていたけど、君達は子猫ちゃんとの夜に夢とかないの?」

鎌清 「それは……。 ……そうですね、僕は先ほども少し言いましたが彼女と二人きりで過ごせるなら――」

鎌清 「彼女の夢のため、一緒に勉強をした後とびきり美味しい抹茶わらび餅に黒蜜をかけてご馳走して……」

大介 「鎌清と黒蜜って何か卑猥だよね」

鎌清 「黙ってください!
――甘いものを食べて幸せそうな彼女を見て幸せになって、
そして……ゆっくり、僕からの想いを打ち明けようと思います」

蔵人 「甘いな」

鎌清 「む、いけませんか。 そういう蔵人は、どんな時間を過ごすつもりなのです」

蔵人 「俺か。俺なら……
……少し、強引なことをしてしまうかもしれんな」

鎌清 「な――!」

我来也「なんだと!?」

咲助 「強引っ? 何する気だ、蔵人!」

蔵人 「……寮生活では なかなか二人きりになる機会が無いからな。 時間が惜しい。
俺を想ってくれた以上に、あいつに俺からの想いを告げて。
――――……姫君のように丁重に優しくしてやりたい」

咲助 「甘っ!!!」

蔵人 「……なら咲助はどうする」

咲助 「お、俺ぇ!?  いや俺は別にあんなメロメロ女に好かれてたってどーでもいーけどっ。 けど……」

咲助 「まぁ……あいつが俺を選んでくれたなら、そりゃ、……な。
お、俺だってあいつと二人きりで過ごせるのは嬉しいし、その、なんていうか……」

咲助 「………………ちょっとくらい、手とか握りたいなって……(小声)」

我来也「聞こえないんだぞ、咲助! もっと大きな声で言うがいい」

咲助 「言えるか!! お、俺のことはもういいから、我来也さんも話せよっ」

我来也「我か? 我は……そうだな。
来るべき暗黒世界に備えて封印されし龍の絆を求めて旅に出る予定を話しても良いが……」

咲助 「謎だな!?」

我来也「僕は正直、あいつと二人きりの空間に居られるだけで幸せだからな」

咲助 「!!」

鎌清 「き、きっぱり純情発言ですね……!」

我来也「なぜだ? あいつに一番に想ってもらったと証明されるだけで――
――――僕は、誰よりも幸福だ。それ以上なんて何も望まない」

蔵人 「……そんな理由だけで謎の箱を入手した、だと……!?」

大介 「さすが我来也さんだね?」

我来也「な、なんだ、貴様ら、そんなに淫らな欲望ばかり抱いているのか!? ……そういえば穴山などは酷そうだな」

大介 「とんだ誤解かな。 俺は今回、変なことを言った覚えは無いんだけどね」

咲助 「そういえば大介、静かだな」

鎌清 「穴山さんは妄想――いえ、彼女との時間に夢を見ないのですか?」

蔵人 「万一何かの間違いで穴山先輩が一位になったとしても、あいつに妙な真似はさせん」

大介 「だから誤解だって。 そもそも俺は一位になりたいとは思わないよ」

我来也「そうなのか!?」

大介 「子猫ちゃんが好きな相手と過ごせるならそれが一番良いと思ってるからね。 相手が俺じゃなくても構わない」

鎌清 「なんですって――?」

大介 「彼女が幸せなら俺も嬉しいんだ。 俺は彼女を想うだけでいい。
……俺なんかは彼女にふさわしくないからね――」

咲助 「大介……」

大介 「まぁ、俺が子猫ちゃんと二人きりになれたら
とびきり甘やかして ぐずぐずに蕩けさせて髪を撫でて 頬を撫でて 額に触れて 喉に――」

――――ごつん!

幸影 「――俺の教室で面白そうな話をしてるな、穴山」

大介 「! 真田先生――っ」

咲助 「うわっ、満面の笑顔が怖い!」

我来也「目が笑ってないな!?」

鎌清 「電光石火の早業で穴山さんを殴りましたよね!?」

蔵人 「近づかれたことにさえ気づかなかったぞ……!」

――ぺらり

幸影 「ふんふん、相手にどれだけ好かれてるか分かる装置、ね。 なるほど、お前たちこんなことで盛り上がってたの」

咲助 「か、かんちがいすんなよ!?
俺はあいつに一番に好かれてたら贈り物でもしようかと考えてたとかそんなことねーからな!?」

我来也「さ、咲助、馬鹿者っ」

鎌清 「咲助、あなたと言う人は……!」

蔵人 「咲助だから仕方ない、か……」

大介 「咲助だからね」

幸影 「ふぅん……? その様子だと一番に好かれた人は彼女と二人きりで過ごせる権利でも賭けてたの?
――面白そうなことするね」

我来也「な、なぜ笑みが更に深まったのだ!?」

幸影 「その企画、俺も混ぜてもらおうか」

咲助 「真田が――!?」

幸影 「敬 語 を 使 え」

――――ぽかっ

咲助 「痛っ」

蔵人 「咲助の敬語はともかく、どういうことです? 真田先生まで あいつのことを……」

幸影 「教師として生徒にどれくらい好かれてるのかは気になるところでしょ?」

鎌清 「誤魔化しましたね……」

大介 「誤魔化したよね……」

幸影 「そこ、ひそひそ話はやめるように」

蔵人 「……ちなみに、真田先生はあいつと何をして過ごしたいんです」

幸影 「俺としては、お前たちみたいな飢えた若者からあの子を守りたいだけなんだけど……」

咲助 「いちばん危ねーのはお前だろ(小声」

幸影 「何か言った? 猿飛」

咲助 「め、目で殴ろうとすんなよっ」

幸影 「まぁいいよ。そうだね、俺は大人で教師だからあの子が怖がらないように
優しく抱きしめて頭を撫でてあげるくらいかな。 …………少しは暴走しちゃうかもしれないけど」

我来也「それが大人の教師の言うことか!? や、やはり一位は我が獲らねばならぬな!」

蔵人 「心配いらん、どうせ一位は俺だ。 ……あいつを思う存分、可愛がってやる。
忠人の邪魔が入らないようにすることだけが心配だが……」

鎌清 「いいえ、僕です! 僕の献身的な愛情に彼女も気付いてくれるはず――
甘いものも刺激的なものも、ご褒美を沢山用意して待っています!」

大介 「鎌清、それ食べ物の話だよね? ……俺も、子猫ちゃんと二人きりになれるなら嬉しいな。
俺は子猫ちゃんに尽くしたくて仕方ないからね。 ――もちろん、夜もね――?」

咲助 「どいつもこいつも いい加減にしろよな!!  あ、あ、あ――」

咲助 「――――あいつを一番好きなのは俺なんだよ!!!」




つづく

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