クロノスタシア

因為クロノスタシア總算有新增比較多的東西了,所以終於可以來寫新遊戲啦! 

文章更新跟新文章的消息,追蹤噗浪會比較方便得知唷ʅ(´◔౪◔)ʃ

 

 

 

3/7更新PLAY MOVIE キョウゴ編

 

3/23更新PLAY MOVIE ティオ

   

3/23更新PLAY MOVIE クライヴ編

這次乙女社(サンクチュアリxオトメイト)的新遊戲,又是打出了音樂牌,上次NORN9的植松伸夫,這次竟然是... ...

 

  志方あきこ還有霜月はるか--!! 

  喂、喂,乙女社,你們最近是怎麼了WWWWW全都是遊戲界的歌姬啊喂WWWW

  常玩遊戲的人應該都對他們不陌生啦(笑)總之,因為這部我也很感興趣,應該說從今年年底的遊戲,到發售日未到的遊戲,這幾部我都蠻感興趣的,感覺都設計的很不錯。(然後重點是... ...全都正中我的菜! )

  雖然クロノスタシア跟NORN9是完全不同的故事,不過那種飄飄的氛圍感覺蠻相像的。

  不過還是先讓大家聽聽看官網上放的BGM吧、還蠻好聽的,就是那種飄飄感這樣~

  

【故事】

“世界樹の大砂時計”に見守られ、栄華を誇る大領都アルビオン――。

10年前、“時の革命”によって時間を管理する術が世に広まった。
人々は自らの時間をこぞって時間銀行“BANK”に預け、または売り払って贅沢を謳歌(おうか)する。
いつしか“時(とき)”は“かけがえのない物”では無くなっていた――。

17歳の少女ルシアは、幼いころの記憶が無い。
それでも、叔父が営む喫茶店を手伝いながら、穏やかで楽しい毎日を過ごしていた。

そんなある日、領都を一大ニュースが駆け巡る。

「BANKに貯蓄されていた“時間”が謎の組織に奪われた。
――世界の残り時間は99日分しかない!」

街の活気が突如として戸惑いと混乱に変わる中、彼女は“小さな砂時計”と出逢う。
砂時計は眩(まばゆ)い光を放つと、手にとる彼女にある力を与えた。

それは、想いによって“時を止める力 ―クロノスタシス―”。

賑やかな祭りの後のような世界で、今、物語は動き出す。
ルシアと“大切な人”との、想いを乗せて――。

【角色】

這次的女主角我還蠻喜歡的

角色設計是風李たゆ,沒弄錯的話,應該是第一次參與乙女遊戲的角色設計。他也有在P站上面PO圖這樣(畫風我還蠻喜歡的),有興趣大家可以去看看/

(剛剛想了很久,後來還是用補充的把這行話打上好了(喂)其實這個繪師在討論版上面爭議蠻多的、描O的事情有這樣,不過我想商業的部份,如果要是真的做了的話,下場--看看星彼的カズアキ就知道了、那時候真的鬧很大,雖然後來小蜜蜂還是在「青春はじめました!」的時候有讓他繼續參與。雖然不是說鼓勵描O這件事情,只是我覺得真的要自愛這樣。尤其是商業工作上,工作態度真的很重要。)

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《可攻略角色》

不忍說官配的キョウゴ是我喜歡的類型... ...(*艸*)<自我懺悔

《其他角色》

其實我懷疑這傢伙也可以攻略(隱藏攻略角色之類的?)

 

【組織圖】 

【已公開CG】

 

◆今日も大漁◆

 

子犬の鳴き声「くぅ~ん、くぅ~ん!!」

幼馴染のキョウゴは、昔から何故か、街の子犬たちに大人気で。
キョウゴが街を通りかかるだけで、みんな夢中で追いかけてきて、こんなふうにまとわりついて離れない。

キョウゴ「おい! それはエサじゃねェ、オレの指だ! オレを食うな、お前ら!!」

がじがじと指とか肩をかじられて、悲鳴をあげるキョウゴ。

キョウゴ「悪い、こいつら腹減ってるみたいだ。なんか食わせるモンあるか?」

ルシア「うん、用意してあるよ」

用意しておいたご飯をお皿に乗せてあげると、子犬たちは大喜びで食べ始める。

キョウゴ「悪いな。いつもいつも。そういやぁ、今日、マスターは?」

ルシア「出掛けちゃったの。野暮用だ、とか言って」

キョウゴ「お前ひとりに店番させて、毎日どこをフラフラうろついてんだか……」

ルシア「わたしなら、ひとりでも大丈夫だよ。こうしてキョウゴが毎日、お店に来てくれるし」

ルシア「だから、淋しくないし、全然大丈夫」

キョウゴ「……え」

キョウゴは、目をぱちくりさせて。

キョウゴ「い、いや、それは……た、たまたま、道場がこの近くにあるから、その帰りに寄るってだけで」

キョウゴ「べ、別にお前のことが心配だからそれで顔出すってわけじゃ、その……」


◆絶望と希望と◆

ルシア「あ、あなたは……」

ルシア「誰……!?」

黒ずくめの青年「僕かい? 僕は……」

黒ずくめの青年「……絶望」

ルシア「絶望……?」

黒ずくめの青年「そう。そして、君は希望……」

黒ずくめの青年「僕と君とは、対になるもの。 だから、僕たちは共にある運命なんだよ……?」

黒ずくめの青年「……ふふっ」

絶望、っていう言葉がぴったりの、深くて暗い色をした瞳。
微笑んでいるのに激しく怒っているようなどこか歪んだ表情。
その人は、にやりと笑って、わたしの頬に手を添えたかと思うと。

ルシア「きゃ……!?」

ぺろり、とわたしの頬を舌で舐め上げた。

黒ずくめの青年「うん。希望の味がする。 やっぱり君は、この狂った世界の最後の希望だね」

ルシア(な、何を言ってるの……!?)

こんなことするなんて、どこかおかしいとしか思えない。 思わず、きっ、とその人を睨みつけたら。

黒ずくめの青年「ああ。いいね。そういう顔、好きだよ」

くっくっと楽しそうに笑って、今度は指先でゆっくりとわたしの唇を撫で上げる。

黒ずくめの青年「こっちは、どんな味がするのかな……?」

ルシア(え……?)

小さく呟いたかと思うと、無理矢理にわたしの顔を引き寄せて――。

◆不思議な居候◆

ティオ「……ルシア、いい匂い」

ルシア「えっ?」

ティオ「砂糖とバターと、卵の匂いがする……」

ティオくんは、くんくんわたしに鼻を近付けてきて──。

ぎゅうううっ!!

ルシア「え……っ!?」

両腕を広げて、わたしのことを思いっきり抱き締めた!!

ルシア「ティ、ティオくん……っ!?」

ティオ「ルシアの匂い、いい匂い。ぼく、この匂い、大好きだ」

キョウゴ「な……っ!?」

キョウゴ「な、なななな何してやがる、お前っ!?」

ホリック「ははははは。なかなか賑やかになりそうで、よかったよかった」

キョウゴ「お気楽に喜んでんじゃねェ、オッサン!!」

額に青筋を立てながら、ティオくんをわたしから引き剥がそうとしていたキョウゴが──

はっと何かに気付いたように、ホリック叔父様を見上げた。

キョウゴ「お、おい、マスター。あんたさっき、引っ越しがどうのって言ってたよな?」

キョウゴ「まさか……こいつが!?」

ホリック「ああ、そうだよ。今日から彼は、うちの同居人だ」

◆BANKの狗◆

突然お店に現れた暴漢。
そして、それを一瞬で取り押さえる威厳のある人影──。

???「動くな、外道。貴様の身柄は王立警察機構『ヴァナルガンド』が確保した」

???「……下手に抵抗すれば、弁護無し裁判無しで実刑判決を喰らうことになるぞ」

ルシア「……!?」

わたしの目の前にいたのは、将校の軍服に身を包んだ男の人。
細くしなるムチが、わたしに襲いかかろうとした暴漢の腕に絡みついて、動けないように拘束してる。

ルシア(さっきの空気を切り裂く音は、このムチの音……?)

???「……」

じろり、とわたしを見下ろす男の人。
その人は、ヴァナルガンドの将校にしてはひどく若くて。
だけど、冷たくわたしを見下ろす瞳は氷のようで何の感情も見えない。

???「この通り、暴漢は確保した。そして……これは、迷惑料だ。取っておけ」

その言葉とともに、チャリン、と音がして。わたしの足元に、金貨の袋が投げつけられた。

客A「お……おい。あれって、ヴァナルガンドのクライヴ・ニールじゃないか?
   ほら、アルビオン随一の博識で、歩く王立図書館って噂されてる……」

客B「あの、将来を嘱望されてる天才エリートって評判の……!?」

ルシア(し、将来を嘱望されてる、天才エリート? 歩く王立図書館?)

クライヴ「……フン」

クライヴ「その通り。私は、ヴァナルガンドのクライヴ・ニールだ。何か質疑があれば、私のところに申し立てろ」

◆巡り逢う砂時計◆

ホリック「ルシア……」

ルシア「は、はい」

叔父様はひどく真剣な顔をして、わたしの手からそっと、砂時計を取り上げた。

ホリック「この砂時計に、触れちゃいけない。これは、とても……とても、大切なものなんだ」

ホリック「もし、どこかでまたこの砂時計を見かけることがあっても……」

ホリック「決して、触れてはいけないよ。わかったかい?」

ルシア「あ……」

知らなかった。
そんな大切な、砂時計だったなんて。

ルシア「ご、ごめんなさい、叔父様。わたし……」

初めて見るような叔父様の真剣な瞳に、言葉を失っていたら──。

ホリック「……ルシア」

叔父様は、そんなわたしをみつめて、ふっと肩の力を抜いた。

ホリック「そんな顔しないでおくれ、私のルーシー。可愛い姪っ子」

くすりと微笑んで、指先でわたしの頭をこつんと叩く叔父様。

ホリック「君を叱ったんじゃない。わかってくれれば、それでいいんだ」

ルシア「は、はい……」

ホリック「ほら、そんなしょんぼりした顔しないで。笑って、ルーシー。君の笑顔は、世界を照らすよ」

◆一輪足りない花束◆

エヴァ「本当はもっと早くにお伺いすべきだったのですが、なかなか機会が得られなくて」

エヴァ「あなたにお会いしお詫びできる日を、今か今かと待ちわびていたんですよ」

ルシア「そんな……どうか気になさらないでください」

ルシア「だって、エヴァさんは何も悪くありません」

ルシア「それどころか、エヴァさんは命の恩人です」

エヴァ「ルシアさん……」

ルシア「あの日は、まるでおとぎ話の中にいるみたいで……」

ルシア「わたしにとっては、本当に夢のような時間だったんですよ」

ルシア「だから、お詫びなんてとんでもないです。ありがとうございました」

エヴァ「……まいったな。あなたのその笑顔の前では、この花束すら霞んじゃいますね」

ルシア「そ、そんなこと……」

エヴァ「いえ、本当に。……私には眩しいくらいです」

エヴァ「ほら、他の花たちも……あなたのその輝きを彩りたくて仕方がないようですよ」

ルシア「ほかの花たち?」

パチン、とエヴァさんが指を鳴らす。
同時に、今まで何もなかった空間からたくさんの花びらが舞い落ちてきた。

ルシア「わぁ……!」

◆無意識のクロノスタシア◆

猛々しい運河の音が、すぐそこに聞こえる。
濁流と化した川の水は真っ黒で――

ルシア(お願い、止まって――!)

わたしはぎゅっと目を閉じて、再び時計に想いを乗せた。
――そのとき。

???「……まったく。このウサギさんは、水浴びが大好きなのかな?」

ルシア「え……!?」

慌てて目を開ければ―― あの黒づくめの男の人が、わたしをしっかりと抱きとめていた。

ルシア「ど、どうしてあなたが……!?」

アダム「不思議に思うことなんて、何もない。僕と君は常に出逢う運命にあるんだから」

わたしを抱きとめる腕の力を強くして、にやりとアダムさんが笑う。

ルシア「い、嫌! 離して!!」

アダム「待って! 今、暴れたら時が動く!」

ルシア「え……?」

アダムさんの言葉に、ゆっくりと首をめぐらせてみれば。
世界は、その時を刻むのを止めていた。

ルシア(成功、したんだ……でも……)

ルシア「どうして、あなたも動けるんですか……?」

ルシア(動けるのは時を止めた人間だけなのに……!?)

アダム「なんだ、知らないの?」

ふふ、とアダムさんが笑う。

アダム「時を止める瞬間に、力の持ち主に触れていればこうやって他人を連れて来ることもできるんだよ」

アダム「それが、この力の持ち主――クロノスタシアの特性さ」

ルシア「クロノ……スタシア……?」

 

◆メリーゴーランド◆

音楽が流れるのに合わせて、ゆっくりと動き出す回転木馬。

わたしの隣に並んで腰を下ろしたキョウゴは、照れ臭いのを懸命に隠そうとしてるみたいに、
仏頂面のままそっぽを向いてる。

ルシア(そんなに恥ずかしいなら、無理して付き合ってくれなくてもいいのになぁ)

わたしのために、いつも無理して。

キョウゴって、いつもそう。

ぶっきらぼうなキョウゴの優しさがいつもすごく嬉しくて、それと同時に少しだけ、胸が苦しくなったりもする。

キョウゴ「な……何見てるんだよ?」

ルシア「ん? キョウゴって、可愛い顔してるなあって思って」

キョウゴ「は!?」

キョウゴ「そこはせめて、カッコいいとか男らしいとか言ってくれよ……」

ルシア「でも、子供の頃のキョウゴって、ホントに可愛かったよ?」

ルシア「わたし、女の子かと思ったもの」

キョウゴ「なんだよそれ……」

くすくす笑いながら、わたしは言葉を続ける。

ルシア「背もわたしより低くて、小さかったし」

キョウゴ「ま、まあな……」

キョウゴ「けど、今はお前より背も高いし、手だってずっと大きいだろ?」

ルシア「う、うん……」

とん、とわたしとキョウゴの肩が少しだけ触れ合って。

ドキッとした弾みに、お互いの視線がぶつかった。

キョウゴ「お、おい……」

キョウゴ「あんま、見るな」

ルシア「ど、どうして?」

キョウゴ「なんか……熱くなる、お前に見られると」

耳まで赤くなりながら、ぼそぼそとそんなことを呟くキョウゴ。

それを聞いたら、なんだかわたしまで恥ずかしくなってきて、顔が熱くなった。

ルシア(あ……もうすぐ、終わっちゃう……)

音楽が終わりにさしかかって、木馬がスピードを落とし始める。

◆世界を見渡す絵◆

わたしはティオくんの部屋に行って、ティオくんが絵を描いているのを見学するのが日課になった。

基本的にティオくんは絵を描いているときに部屋に入って来られるのを嫌がるけど、
どうしてだかわたしだけは、部屋にいても気にならない、って言ってくれる。

ルシア「それは、何の絵……?」

今ティオくんが描いているのは、大きな壁画。

ここへ越してきた最初の日にアトリエの壁に何かを描き始めて、それが日に日に大きく広がっていってる。

ティオ「うーん……わからない」

ルシア「わからないの?」

自分で描いてる絵なのに、ティオくんは首を横に振る。

ティオ「昨日のぼくが何を描こうとしてたのか、わからないし、明日のぼくが何を描くかも、わからない……」

ティオ「でも、今のぼくが描こうって思う絵を、今は描いてる」

ルシア「ふうん……」

今日のティオくんが描き足したのは、1本の小さな木。

弱々しくて細い幹から、ひょろりとした枝が伸びてる。

この木がやがて大木になるのか、森の一部になるのか、それとも明日には塗りつぶされてしまうのか──

ティオくん自身にもわからないその絵の続きを見るのが、わたしの毎日の楽しみになった。

◆二つ目の歯車◆

キョウゴ「オレが取るから、お前はそこにいろ!」

ルシア「え、でも……!」

わたしの代わりに、今度はキョウゴが闇夜に身を乗り出して、時計盤の長針に手を伸ばす。

ルシア「だ、大丈夫なの? 高所恐怖症じゃ!?」

キョウゴ「大丈夫じゃない、死ぬほど怖いぞバカ!!」

八つ当たり気味の文句を言いながらも、震える手を必死に伸ばすキョウゴ。

指先が、歯車に届くか届かないかのところで空を切る。

しかし、何度か繰り返したあと、ついにその手が歯車を掴んだ。

キョウゴ「取れた……!!」

キョウゴ「っと、うわ!?」

ルシア「キョウゴ!?」

バランスを崩したキョウゴを、わたしが慌てて抱き止める。

そのまま、わたしたちは同時に機械部屋の中に倒れ込んだ。

◆消せない傷跡◆

叔父様は、首を締め上げられるまま──

抵抗しようともせずに、ただ真っ直ぐにクライヴさんを見つめ返す。

クライヴ「貴様の命は……今、私の手の中にある」

クライヴ「ほんの少し、もうほんの少しだけ、この右手でムチを引き絞れば、貴様は……!!」

ルシア「クライヴさん!!」

もうこれ以上は、見ていられない──!!

ルシア「クライヴさん、やめて! やめて下さい!」

大きな声で叫んでも、クライヴさんの手はゆるまない。

わたしの方を振り返ってもくれない。

ルシア「クライヴさん……!!」

わたしはクライヴさんに駆け寄って、その背中に力の限り、ぎゅっとしがみついた。

ルシア「もうやめて下さい、お願い……!!」

◆静寂のロンド◆

ホリック「まあまあ、そう急ぐことはないさ。一曲、踊って頂けませんか。お姫様」

ルシア「一曲って、そんな悠長なこと……」

ホリック「ルシア、君の想いの力はすでにずいぶんと強く、昔に戻ってきている」

ホリック「そら、その砂時計を見てごらん。砂がいっぱいに貯まっているだろう?」

ルシア「あ……本当! いつの間にこんなに?」

ホリック「その砂が落ち切るまでの間、この舞踏会は私たちの貸切ってことだ」

ホリック「と、いうことで。さあ、ほんの一曲だけ。いいだろう? クマくん! 一曲、いい曲をたのむよ」

ほりックマ「あいあい。お任せくださいましませ~」

ホリック「さあ、こっちにおいで。そう、手を腰にまわして……」

ほりックマ「ミュージック、すた~とっ!」

ホリック「力を抜いて。私について来るだけでいい。そう――上手だよ、ルシア」

◆18:11の儀式◆

ティオ「……ぼく、キミのこと、好きだ」

きゅっとティオくんが指先に力を込めて、その力の強さに、わたしはどきりとする。

ティオ「キミが好きだよ。すごく好きだ」

ティオ「他のことは何も確かじゃないけど、この気持ちだけは、きっと……」

ティオ「昨日、嵐の中で、キミのこと思ってた。キミの名前」

ティオ「ぼくが持ってる、ただひとつの確かなもの……」

ルシア「ティオくん……」

わたしも──好き。
ティオくんのこと、とても好き。

何度記憶が消えても、毎日必ずわたしのことを好きになってくれるあなたのことを、
わたしもいつの間にか、大好きになっていたの。

すぐに忘れられてしまう、ってわかっていても、その気持ちを伝えておきたくて、わたしが口を開こうとしたとき。

ティオ「……イヤだ」

ティオ「イヤだ……忘れたくない、忘れたくないよ、ルシア……!!」

ルシア「……!!」

ティオ「他のことは全部忘れてもいい、何も覚えていなくてもいい、でもキミのことは……」

ティオ「キミと過ごした時間のことだけは、忘れたくない……」

ティオ「忘れるなんてイヤだよ、ルシア……!!」

◆晴れやかな舞台◆

エヴァ「皆さん、ようこそ、私のマジックショーへ」

エヴァ「今宵お目にかけますのは、白き幻想が織りなす、夢と現実の狭間の世界」

エヴァ「決して迷子になりませぬよう、存分にご注意を――」

観客席に向かって優雅に一礼したエヴァさんが、手にした白銀の布をひらりと振ると。

ティオ「わっ!?」

キョウゴ「き、消えた!?」

エヴァさんの姿は消え失せて、一瞬の後、まるで違う場所から現れた。


キョウゴ「どうなってんだ、今の……!?」

ティオ「あの人、魔法つかうの!?」

ホリック「はははっ。そうかもしれないねぇ。もしかしたら本物の魔法使いなのかもしれないよ?」

さっきまであんなに文句を言ってたキョウゴやティオくんも、
一瞬で魅了されてしまったように、息を飲んで見つめている。

ルシア(すごい、エヴァさん……!!)


エヴァ「さて、次のマジックは、どなたかお客様にお手伝いして頂きたいのですが……」

エヴァ「そこの、可憐なお嬢さん?」

エヴァ「この夢のリングに上がって頂けますか?」

気のせいか、エヴァさんの視線と指先が、真っ直ぐにこっちを向いてるような気が……。

ルシア「え……?」

きょろきょろと周りを見回してみるけど、この辺りに座ってる女の子はわたししかいない。

ルシア「わ、わたし……!?」

エヴァ「さあ、勇敢なお嬢さんに拍手を!!」

 

◆お前が心配で…◆

くるりと背中を向けたクライヴさんの後を、急いで追いかけようとしたとき、

くい、とキョウゴに手を引っ張られた。

ルシア(ん?)

キョウゴ「あ、あー、その……ルシア」

ルシア「な、なに?」

キョウゴ「今更こんなこと聞くのもアレっつーか、なんだけど、その……」

キョウゴ「さっきあのカラス野郎に、その……な、何もされなかったか?」

ルシア「え?」

キョウゴ「だ、だから……ほら」

言い辛そうに口ごもりながら、キョウゴがそっと手を伸ばして、わたしの唇をつん、とつつく。

ルシア「あ、ああ!」

キョウゴが何を言いたいのかわかって、わたしも一瞬で真っ赤になった。

◆密室の尋問◆

クライヴ「さあ、答えろ。ホリック・ソルとは何者だ?お前の本当の叔父ではなかろう」


クライヴ「そして……お前も、何者なのだ?」

クライヴ「調べてみたが、お前の名もヴァナルガンドのデータ・バンクには存在しない」


ぐい、といきなりわたしの顎に手をかけて、クライヴさんは至近距離から、わたしの顔を覗き込む。

ルシア(……!!)

クライヴ「言い逃れしようとしても無駄だ。こうして目を見れば、私には真実がわかる」

クライヴ「人の目は、嘘がつけない」

クライヴ「そして私は、そのわずかな感情の揺れを読みとることが出来る」

クライヴ「もう一度聞く……お前たちは何者なのだ」

ルシア「ク、クライヴさん……!」

◆停電の中で◆

ルシア「きゃああっ!!」

その音の凄まじさに、思わず身体を縮こまらせて悲鳴をあげたら──

ティオ「ルシア……!!」

ルシア(え……!?)

身体ごと引き寄せられて、気が付いたら──

わたしはティオくんの胸の中に、強い力で抱きしめられていた。

ルシア「ティオくん……!?」

ティオ「このままでいて、ルシア」

ティオ「こうしてれば……怖くない」

ティオくんの鼓動や息遣いが、その身体から直に伝わってくる。

ルシア(わたしが守る、って言ったのに……)

ルシア(これじゃわたしが、ティオくんに守られてる、みたい……)

◆卒業のご褒美◆

ホリック「君が大きくなって……いつからだろうね、別々に眠るようになったのは」

ホリック「小さかったルシアも大人になってゆくのだと、その時は、少し寂しく思ったのを覚えているよ」

ホリック「叶うことなら、あの時のように君を抱きかかえたまま、朝を迎えたい……」

ホリック「……いっそ、このまま時間が戻れば」

ルシア「叔父様……?」

ホリック「いや、いいんだ。過去を懐かしむのは決して悪いことじゃないが」

ホリック「時は決して戻らない、戻してはいけない。それだけは……」

ルシア「叔父様……」

ホリック「ん……ああ、さあ、どうかな?そろそろ眠れそうかい?」

ルシア「うん、ありがとう叔父様」

ルシア「……おやすみなさい」

ホリック「おやすみ、ルシア。いい夢を――」

◆この本でいいのか?◆

手を伸ばして取ろうとしたけど、あと少しで指先が触れそうなのに、届かない。

つま先で立って、背伸びをしようとしたら──。

クライヴ「ああ、無理はするな」

肩に軽く置かれた手。
背中に感じる体温。

クライヴさんがわたしのすぐ後ろに立って、本に手を伸ばしてくれる。

クライヴ「見たいのは、これか?」

ルシア「あ、い、いえ、その隣の……」

クライヴさんにそんなつもりはないってわかっているけど、
まるで後ろから抱きしめられてるみたいで、なんとなくドキドキしてしまう。

クライヴさんはそんなわたしの後ろから、軽々と厚くて重い本を抜き取って──。

クライヴ「どうぞ。ゆっくり読むといい」

ルシア「あ、ありがとうございます……」

クライヴさんから渡された本を、わたしは大切に胸に抱きしめた。

◆紅茶を美味しく◆

ルシア(今、時間を止めたら叔父様の気持ちが聞こえたりするのかな……)

何とはなしに、胸の砂時計を強く握りしめてみる。

気持ちを集中すると、いつもの目眩が訪れる。

ルシア(うーん、何回やってもこの目眩には慣れないなあ……)

少しふらついていると、叔父様の声が響いてきた。

ホリック「さぁ、腕の見せ所だぞ。これほどの茶葉を扱うのは久しぶりだ。
     水質、温度、抽出時間、1つでも間違えば、あの子には伝わらない」

ホリック「なんていっても、小さい頃から私の紅茶で鍛えた鋭敏な舌をもっている。ごまかしは利かない」

ホリック「とてもじゃないが……さっき発案したばかりの、自走式紅茶入れ機にもまかせられないだろう」

ホリック「それに。今日は大切なデートだからね。この紅茶で、どうかルシアの笑顔が見れますように――」

ルシア(……わたしのことちゃんと考えてくれてるんだ……)

ほんの少しだけ赤くなった頬をそっと押さえながら、砂時計をもう一度返す。

ルシア(紅茶ができるまでに、この頬をどうにかしなくっちゃ)

しばらくして、紅茶の香りが流れてくるまでわたしは必死に頬を冷ましていた。

◆不思議なデート◆

ルシア「うん、美味しい!」

エヴァ「ふふ、あなたという人は、ほんとうに美味しそうに食べますね」

ルシア「そ、そうですか?」

エヴァ「ええ、見ていてとても気持ちがいい。にこにこと笑っていて――」

ルシア「その……美味しいものを食べると幸せな気持ちになるから、自然とそうなっちゃうんです」

エヴァ「じゃあ私も日を改めて、あなたのケーキを食べに行こうかな」

ルシア「え?」

エヴァ「あなたの手作りケーキを食べると、幸せな気分になれますから」

ルシア「あ……ありがとうございます」

エヴァ「あ、ルシアさん。ちょっとじっとして……」

エヴァ「そう、そのまま動かないで……」

エヴァ「……」

ルシア「……っ!?」

【音樂】

太可怕了,這個組合... ... 

【特典】

 

【短篇故事】

 

キョウゴ編

キョウゴ編

ルシア
「――ホリック叔父様は、どこですか!?」

『買い物に出かけていた叔父様が、街角で倒れてわたしを呼んでいる――』
そう知らせにきてくれた若い男の人に連れられ、わたしは薄暗い裏路地へやってきた。
でもそこに叔父様の姿はなく、見たことのない男の人がニ人いて……。
困惑しているうちに、わたしはその三人に取り囲まれていた。

リーダー格の男
「叔父様? あはは、そんなもの最初からいやしねーよ。
 だって俺達はアンタに用事があるんだからさ。ルシアちゃん

ルシア
「え? それって、どういうこと?」

リーダー格の男
「ま~、悪い話じゃねえよ?
 俺達の雇い主の貴族様が、喫茶店でマジメに働くアンタに一目ぼれして、
 どうしても二人きりで会いたいって言ってるわけ。
 だからこれからちょっとだけ、付き合ってくんない?」

ルシア
「じゃあ、叔父様が倒れたっていうのは嘘なんですね!? ……よかった」

リーダー格の男
「ルシアちゃんはこんな状況でも叔父様の心配しちゃうわけ? 健気だねぇ!
 さ、それじゃ、さっそく一緒に貴族様のお邸までいこっか」

ルシア
「……わたし帰らせてもらいます」

来た道を戻ろうとすると、わたしを案内してきた気弱そうな男の人が行く手を塞ぐ。

気弱そうな男
「おっと。ここまで来て帰るだなんて、僕の苦労を無駄にしないでくださいよ?
 喫茶店に行った時、噂のルシアさんの幼なじみってのが、
 いつ現れるかってずっとヒヤヒヤしてたんですから」

ルシア
(それって、キョウゴのこと……?)

リーダー格の男
「なんでもアンタの店には、とんでもなく腕の立つ幼なじみが入り浸っていて、
 喫茶店を守る騎士(ナイト)気取りらしいじゃん? そりゃあ、こっちもビビるよね?
 だから俺達もさ、念には念を入れて腕利きの用心棒を雇ったってわけ」

気弱そうな男
「仮にそのナイトさんが助けに来たとしても、こっちが雇った用心棒が返り討ちにしてくれるってわけです。
 どうです、僕達賢いでしょう? ……って言っても、それも余計な心配だったみたいですけどね。
 肝心なときに現れてくれないナイトなんて、ほんと意味ないですよね。ははは」

乱暴そうな男
「ふん……。だから言ったんだ。俺達三人で十分。用心棒なんて雇う必要ないってな」

リーダー格の男
「ってことでさ、大人しくしてよ?
 俺達も、ルシアちゃんみたいなカワイイ子に、あんまり乱暴なことはしたくないからさ」

三人の男の人は、ニヤニヤ笑いながらわたしに詰め寄る。

ルシア
(――助けて、キョウゴ!!)

リーダー格の男
「さて、と……ってことで、どうやら出番はないようですよ!
 今日は、もう帰っていいっす、用心棒さん!
 次の機会にまたお願いしますわ!」

路地裏の奥の暗がりに向かって、声をかけるリーダー格の男の人。
その声に反応して、人影がゆっくりと近付いて来る。

???
「そういう訳にはいかねえんだよな」

リーダー格の男
「は? なんでですか?」

???
「その子に用があるからさ」

リーダー格の男
「この子に……?」

ルシア
(え? この声ってまさか……)

ルシア
「キョ、キョウゴ!?」

キョウゴ
「よう、ルシア。大丈夫か、なんか変なことされてないよな?」

ルシア
「うん、今のところは……」

キョウゴ
「そうか、よかった。
 ……ったく。いつもマスターがオレのこと専属ナイトなんて呼ぶから、
 喫茶店の客の口から街中に広まってんだろ、どうせ」

リーダー格の男
「それじゃあ、ナイト気取りの幼なじみって……ひょっとしてアンタ!?」

キョウゴ
「まあ、そういうことになるな」

リーダー格の男
「えっと、つーことは……俺達、ナイト退治にナイトを雇っちまったって、そういうことかよ!」

乱暴そうな男
「まさかお前、裏切る気か!」

気弱そうな男
「そ、そんな! さっき前金渡したじゃないですか!」

キョウゴ
「それはそうだけどよ。大体、話が違うんじゃねーか?」

ルシア
「話……?」

キョウゴ
「ああ。自分には駆け落ちを約束した相手がいる!
 その娘には鬼畜のような叔父がいて、家から出られずに困ってる。
 だから、彼女を救い出すのを手伝ってくれ!!
 ……とか嘘泣きまでしやがって」

気弱そうな男
「そ、それは、ちょっとだけ脚色させてもらっただけで、その……」

キョウゴ
「脚色ねぇ。
 じゃあ、その鬼畜のような叔父ってのは、ひょっとしてマスターのことだったりすんのか?
 まったくあのオッサンのどこか鬼だよ。まあ、変人ではあるけど」

そう言ってキョウゴは、呆れたように笑う。

キョウゴ
「つう事でさ、今回は金返すわ。
 まだ、ルシアにも手荒なマネはしてないみたいだし。
 今なら許す。さ、わかったら帰んな、ほらほら」

手をひらひらとさせて、男の人たちを追い払う仕草をするキョウゴ。

リーダー格の男
「ふ、ふざけんなよッ! 今更んなこと――」

言い終わらないうちに、
キョウゴがいきなりリーダー格の男の人の胸ぐらを掴んで引き寄せる。

キョウゴ
「オレの用心棒稼業の信条は、世のため人のためなんだよ、あきらめな。
 それにな、ルシアを騙して攫(さら)おうとした、それだけでも腸(はらわた)煮えくり返ってるんだぜ? 本当は。
 ただ、今ならまだ許してやる、そう言ってるだけなんだよ」

静かに、でも低く威嚇するような声で言い放った後、男の人を突き放すキョウゴ。
リーダー格の男の人は、そのあまりの迫力に尻餅をつく。

リーダー格の男
「く、くそぉぉ。こうなったら、お前ら、やっちまえ!」

キョウゴ
「おいおい、やめとけって」

キョウゴが呆れつつ、警告する。

気弱そうな男
「やっちまえっていっても、相手はあの……!」

乱暴そうな男
「ふん! こっちは三人だ。負けやしねえ、ほらっ!」

気弱そうな男
「ひ、ひい……」

裏路地の隅に積んであった鉄パイプに気が付いた乱暴そうな男の人が、腰が引けている気弱そうな男の人にそのうちの一つを投げて渡す。
リーダー格の男の人も、お尻の汚れを叩き落としながら、鉄パイプを手にとる。
じりじりと、ゆっくりキョウゴを取り囲む三人。
キョウゴは、わたしを庇うようにしながら、路地の奥へと誘導する。

キョウゴ
「すぐ済むから、そこでじっとしててくれよ? ルシア」

そして、わたしの安全を確保すると、キョウゴも鉄パイプを手にとった。

キョウゴ
「……知らねえからな、ケガしても」

ゆっくりと口から息を吐き、背筋を伸ばすキョウゴ。
キョウゴが構えた途端、周りの空気が張り詰める。

キョウゴ
「来るならいつでも。どうぞ?」

穏やかな、でも自信に満ちた表情で相手を見据えるキョウゴ。
その底知れない圧力に、三人組はなかなか動けないようだ。

リーダー格の男
「くっ……」

気弱そうな男
「や、やっぱりヤバイですって、この人『ケンドウ』って武術の使い手だって噂なんですよ!」

リーダー格の男
「な、なにビビってんだよ! 行けっつってんだろ!」

乱暴そうな男
「俺がやる! おらぁッ!」

武器を大きく振り上げて、一番体の大きい男の人がキョウゴを襲う。
ブンッと、空気を震わせて力強く繰り出される攻撃を、キョウゴはいとも簡単に避けてみせる。
そして、一瞬の隙を見逃さず素早く踏み込んだキョウゴの一撃が、その男の人のお腹を払う。

乱暴そうな男
「ぐはぁ……」

鉄パイプはカランと音を立てて落ち、男の人はそのまま崩れ落ちる。
その様子を確認して、何事も無かったかのようにまた静かに構えをとるキョウゴ。

キョウゴ
「……これであと二人な? で、まだやる?」

キョウゴは、またも静かにリーダー格の男の人に尋ねる。

リーダー格の男
「く、くそぉ。コイツ、ホントに強えよ!
 そ、そうだ、おい女だ! 女を押さえろ――!」

気弱そうな男
「は、はい!」

リーダー格の男の人に命令されて、キョウゴの横で縮こまっていた気弱そうな男の人が、わたしの方へと走り寄る。

キョウゴ
「はい、じゃねえよ。ルシアに触んな!」

わたしの方へ振り返りながら放ったキョウゴの攻撃が、わたしを捕まえようとする男の人の首筋を捉えた。

気弱そうな男
「ぎゃ――!」

首筋を打たれた男の人は、糸が切れた人形のようにカクンと膝をついて、わたしに倒れかかってくる。
その重みで、わたしも思わず尻餅をついてしまった。

ルシア
「いたっ……!」

キョウゴ
「大丈夫か、ルシア?! ケガとかしてないか?」

すこし慌てたキョウゴが、わたしを抱き起こす。

ルシア
「うん、ありがと。あ――! キョウゴ、危ない後ろ!」

いつの間にかキョウゴの背後に忍び寄っていたリーダー格の男の人が、鉄パイプを振り上げていた。

リーダー格の男
「くらえ――ッ!」

キョウゴ
「ちっ……しまった!」

とっさにキョウゴは、わたしを抱きかかえて庇う――
渾身の力で振り下ろされた鉄パイプが、キョウゴの背中にめり込む。

キョウゴ
「グッ……!」

しい音とともにキョウゴが苦しそうな声を上げた。

ルシア
「キョウゴっ!!」

リーダー格の男
「へ、へへへ、なんだよ噂のナイト様も大したことねーじゃん!
 女庇ってやられてりゃ、ざまぁねぇっての! このまま、もう一発トドメ――」

そのとき――ゆらり、とキョウゴが立ち上がった。
ゆっくりと相手の男の人を振り返るその眼は、今まで見たことがないほどに怒りに満ちていて――。

ルシア
「キョ、キョウゴ……だめだよ! ね、キョウゴ!」

わたしは必死にキョウゴを諫(いさ)める。
キョウゴは普段は優しいけれど、本当に怒った時には手が付けられないくらいに自分を見失ってしまう事がある。
小さい頃、それを見かねたホリック叔父様に勧められて今のケンドウを習い始めたくらいに……。

リーダー格の男
「し、死にぞこないのくせに、これで終わりだ――ッ!!」

豹変したキョウゴを見て慌てた男の人が、もう一撃と鉄パイプを振り下ろす。
でもキョウゴは、相手の手首をガシリと掴み、その攻撃をいとも簡単に防いだ。

リーダー格の男
「く、くそ、はなせ、はなせよッ!!」

リーダー格の男の人は、なんとか捕まれた手を離そうと暴れるけれど、キョウゴの腕はビクともしない。

キョウゴ
「……危ねえじゃねえか、さっきの。もしもルシアに当たったら、どうしてくれんだよ?」

怒りを握りつぶすようにキョウゴの左手が、ぎりぎりと相手の手首を締め上げる。

リーダー格の男
「い、痛い! 折れる! た、助けて……」

キョウゴ
「だめだ。今はもう……許さねえ」

そのまま、男の人の腕を背中にねじり上げると、裏路地の壁めがけて投げ飛ばした。

リーダー格の男
「がふ――ッ!」

壁に激突した男の人は、口から泡を吹いて、気を失ってしまった。

キョウゴ
「ったく。ルシアに、手出すなって言ったろうが。
 しかも、思いっきり殴りつけやがって、つい本気になっちまったじゃねーか……」

背中を擦りながら、足元に崩れている三人に声をかける。
やっぱり、キョウゴって段違いに強い……。

キョウゴ
「お前ら、これに懲りたらケチなことはやめとけよ。って、聞こえてねーか」

相手がのびていることを確認してから、キョウゴがわたしの方へ心配そうに寄ってくる。

キョウゴ
「大丈夫だったか、ルシア? どこもケガないか?」

ルシア
「大丈夫だよ。安心して、キョウゴ」

キョウゴ
「ほんとか? だったらいいんだけど、まったく……」

安心して、息を吐くキョウゴ。
そのとき突然、パチパチパチと、どこかのんきな拍手が裏路地に響き渡る。

ホリック
「やあ、ルシア専属ナイトくん! さすがに、お見事だったねぇ~」

そこには、拍手をしながら裏路地に入ってきたホリック叔父様の姿があった。

ルシア
「叔父様……!」

キョウゴ
「なんだよ、マスターいつからいたんだよ!?」

ホリック
「私の可愛い姪っ子が攫われたとあってはね、空を飛んででも助けに来るってもんさ。
 で? 殴られた背中の方は、大丈夫かい……?」

キョウゴ
「ん、ああ、まーな。オレの体は小さい頃から、女神様に守られてるらしいから」

ホリック
「……そうだったね。それにしても腕とかお尻とか真っ黒だよ?」

叔父様は、まるで小さい子供にするかのようにキョウゴの服の汚れを叩いて払う。

ホリック
「まったく君は、子供の頃からおんなじ汚れ方をして帰ってくるよねぇ」

キョウゴ
「そういうあんたも、いつも現場に現れるのはトラブルが済んでからだろうが?」

ルシア
「二人とも、ありがとう。それにごめんなさい、わたしが簡単に騙されたから……」

ホリック
「君が気に病むことはないよ。どうやら相手はあまり素性の良くない連中のようだしね。
 ま、詳しいことは帰ってから聞かせてもらうとしよう」

キョウゴ
「そうそう。さ、店帰って午後の支度するんだろ?」

ルシア
「うん。そうだね」

二人の優しさに包まれて、さっきまでの怖さもどこかへ吹き飛んでしまう。

ルシア
「じゃ、帰ろっか。ちゃんと用意もしてあるし」

キョウゴ
「ん? なんの用意だよ?」

ルシア
「キョウゴが連れてきちゃう子犬たちのご飯。
 だってほら、すでに一匹、そこの影から心配そうに覗き込んでるよ?」

路地の影から、怖いけど興味津といった感じで覗き込んでいる一匹の子犬。
きっとまた、キョウゴにくっついてきちゃったんだ。

ホリック
「さ、帰りはゆっくり地面を歩いて帰るとするか、みんな行くよ~」

叔父様にうながされ、わたしも帰路につく。
裏路地を振り返ると、キョウゴが子犬を抱き上げて話しかけていた。

ルシア
(ここからだとよく聞こえないけど、なにを話しているんだろ?)

キョウゴ
「ったく。
 結局、なんにもなかったから良かったようなものの、あいつはいつもトラブルに巻き込まれるんだよなぁ。
 これだから、あいつから眼が離せないんだっつーの。
 なあ、チビスケ。お前もそう思うだろ? ん?」

ルシア
「キョウゴ、どうしたの? 早く帰ろうよー!」

キョウゴ
「ああ、すぐ行くってー!
 だからあいつは、ルシアはオレがしっかり守ってやらないと……。
 まあ、いつまで側にいられるか分からないけどな……」

 


1/18更新雜誌內容

(官網上有更新的話,會再把這邊撤掉)

 

 

 

 

 

2/19更新雜誌內容


 

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